ほんとうなら、ちょっと悲しい。

世の中のSIerという企業体(の経営者)がほんとうに「バカに金を出させて仕事をしないで責任を顧客か下請けに押し付ける」というスピリットで駆動しているのであれば、これはもうビジネス・ビッグバンの最悪の成果としかいいようがない。この歴史の浅いビジネスにおいて自己責任とか自己実現とか能力主義とかあげくのはてに「世界に等しく情報を」とか言いながら掲げられた体のいいミッションは、ようは直接的に短期的に大量にキャッシュだけを獲得しようという運動を膜に包むだけのスローガンでしかなかったということだ。こういったことは業界を問わず、ごくあたりまえの基本姿勢じゃないか、という声もあるが、私はそういった心根を露骨にあらわすビジネスピープルに一度も遭遇したことはない。幸か不幸か。ああ、そういえば、確かにやり逃げを正当化するような取引先があってクライアントへの翻訳にたいへん苦労したことがあるが、やはりそれは残念ながらSIPSの黎明期の企業だった。しかし、そういったまれな例は別として、to Bにおいて、ほとんどの場合、関与者が最終的な顧客(多くの場合が一般的な生活者)とのバランスのとれた交換に向ってバリュー・チェーンの最適化に骨身を削っている姿を目の当たりにすることが多かった。そういった点では、増田の言う世界は、ITビジネス特有のものなのだろうか。これがほんとうの実態なのだろうか。ごく一部の劣化した企業(経営者)だけではないのだろうか。
やはり「商売」の原点は、「信頼」の交換であり、「長い愛顧」から新しい発想がうまれてくるものであり、それらは「共有された最終目的」に向ってドライブしていくものであって欲しいし、かつ、それだけでなんとか喰っていけるだけの「商売」はやっていける、と思いたい。甘いといわれてもそんなふうにしかできないんだ。