買っていない本。

買っていない本に思いをめぐらせてみようとう企画です。気になっているけれど、湯水のように使える原資があるわけでもないし、だいたい買ったきりの本もたくさんたまっているので自制しているような本をあげつらってみようということです。

まず最初は『デヅカ・イズ・デッド』。これは表現技術に絞り込まれたマンガ批評であるとか、「キャラ/キャラクター」の定義をクリアにしたとか、そんなことで評判が高いわけだけれど、そこまでマンガ好きではないのでどうだか、という感じ。ただ『ユリイカ1月号 マンガ批評の最前線』で、著者含めて夏目房之介などがうまい具合に宣伝してくれているので、早々とのせられるかもしれない。まさにマンガが「ツマらなくなった」という世評の代表である私を慧眼させてくれるか。
ちなみに、ほんとうに熱心にマンガを読まなくなっていて、今年、執心をもって読んだマンガは(1)『20世紀少年』(2)『PLUTO』(3)『イブの眠り』(4)『医龍』(5)『キーチ』ぐらい、というふつうのマンガ読者レベル。(1)は、だいたい予想どおりの展開になってきているのでやや中だるみ。(2)は思い切って「ビッグオリジナル」の惰性購読を断ち切ったので、3巻の発売をまって単行本をそろえようかというところ。あいかわらず休載が多いみたいだけど先述の『ユリイカ1月号』のインタビューはなかなか楽しめたので許す。(3)は終わっちゃったが結果としては、小品だったなあ。まあ、面白かったけれど。(4)(5)は順当ですね。って、なにもこれらはベストではないので、揚げ足をとらないように。
あと、冬休みの課題漫画としては、忙しくて読めていない、のだめとハチクロ、さらに1巻だけ買って放置プレイの『sink』をなんとかするというところ。それを考えたら、『デヅカ・イズ・デッド』は春休みの課題図書か。春休みなんてあったっけ。

今年も『日本一怖い!ブック・オブ・ザ・イヤー2006』は、阿部和重やアーヴィングのインタビューもあって楽しくて、これはメタローグがずっとだしていた『ことし読む本 いち押しガイド』のうまいスペアになっているんだけど、こういうのを読んでいると、やっぱり、『ベルカ』とか『ポー(ないしはクーツェ)』とか、柄谷がしつこく勧めている『複雑な世界、単純な法則』なんかは基本的に抑えておきたいなあという気になる。あと、苦手なミステリーに再度挑戦するという意味あいで、『容疑者Xの献身』ももうそこまで手は伸びているが、結局ダメなんだろうなあ。

小説については、青山真治を再発見できたので、今年はもういいかという気もするが、いくつか列挙してみる。まずは文庫になった水村美苗『本格小説』は、発表時の話題性だけで興味を保っているもの。そもそも水村は一冊も読んだことなく、そういった意味では買っても死蔵される可能性は高い。『ららら科學の子』の直後なら迷いなく選んでいただろうなあ、というのが矢作の『悲劇週間』『THE WRONG GOODBYE』。後者はともかく、『悲劇週間』は正月の友になる可能性が高いが、それよりなにより『あ・じゃ・ぱん』を読めよといいたい。(ほんとうに、読めよといいたいのは、『九十九十九』なんだけれど)。柴崎友香『フルタイムライフ』は、とりあえず買いっぱなしの『青空感傷ツアー』を読み終えてからだな。

海外の小説については、あまり多くなく、せいぜい『ウェイクフィールド/ウェイクフィールドの妻』ぐらいなんだけど、考えてみればこれは2004年の本だわ。そういった意味では、ホーソーンは、小説ではないけれど『わが旧牧師館への小径』ということになるか。あとは、うーん、ブランショ小説選とか読む?中村書店に出てたから買っておこうかなあ。

いくつか、気軽に文芸評論も読みたいなあと思っていて、気軽に読めるかどうかは別として荒川洋治『文芸時評という感想』や、渡部直己『メルトダウンする文学への九通の手紙』は、きっと早々に書店から姿を消すだろうから、早めにジュンク堂にでもいってとりあえず買っておくだけは買っておこうか。あと、『「資本論」も読む』つながりで、宮沢章夫『チェーホフの戦争』も読みたい気もするが、どうも彼の文章があわないようなのでこれは迷いどころだ。

というわけで、書店頭でこのブログを携帯で閲覧すれば、「とりあえず趣味欄には読書だな」というあなたの買い忘れを防止することができます。ぜひ活用ください。